遺伝子研究により、クシクラゲ類は海綿動物よりも複雑な神経系を持っているものの、最初に出現した多細胞動物のグループである可能性があることが明らかになっています。
Hormiphora californensis - クシクラゲの一種。写真:ダリン・シュルツ/2021 MBARI
海綿動物(海綿動物)は、神経系がないなど、解剖学上の単純さから、長年にわたり最初の多細胞動物の称号の最有力候補でした。しかし、新たなデータによれば、より複雑な神経系を持つにもかかわらず、クシクラゲ類(有櫛動物門)がトップの座を占めていることが明らかになった。 5月17日にネイチャー誌に発表された国際的な科学者チームによる新たな研究は、進化が単純なものから複雑なものへの単純な過程ではないことを示している。
「すべての動物の最も最近の共通祖先は、おそらく6億年から7億年前に生息していたと考えられます。軟体動物であり、直接的な化石記録を残していないため、当時の姿を知ることは困難です。しかし、現生動物との比較を通して、共通祖先について学ぶことは可能です」と、研究チームの一員であるカリフォルニア大学バークレー校の分子生物学者ダニエル・ロクサー氏は説明する。
これまでの遺伝子配列分析では矛盾する結果が出ており、海綿動物が先に出現したとする説もあれば、クシクラゲが先に出現したとする説もある。新たな研究で、研究チームは、クシクラゲ類、2種類の海綿動物、2グループの単細胞動物(襟鞭毛虫類とアメーバ)、動物に関連する魚類寄生微生物、および真菌(魚胞子虫類)のゲノムを他の現生動物のゲノムと比較した。
その結果、海綿動物と現代の動物は、まれなタイプの染色体融合および再配置イベントからの特徴を共有しています。しかし、クシクラゲの場合はそうではなく、そのゲノムは単細胞動物のゲノムに似た配列になっている。したがって、最初にクシクラゲが進化し、その後に海綿動物が進化した可能性が高い。その後、海綿動物は新しい染色体の配列を子孫の動物に伝えました。
「この古代の進化の痕跡は、数億年経った今でも動物のゲノムに残っています。今回の研究は、動物の行動原理を理解するための文脈を与えてくれます。また、環境を感知し、餌を食べ、移動するといった、私たち人間が持つ基本的な機能を理解する上でも役立つでしょう」と、ウィーン大学のバイオインフォマティクス研究者、ダリン・シュルツ氏は述べています。
Thu Thao (サイエンスアラートによると)
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