トランプ政権がガザ問題を直接扱う

トランプ政権は戦略を変更し、ガザ地区の人質救出に向けてハマスと直接交渉するとともに、同組織に対する前例のない圧力を強めている。

歴史的な交渉

ホワイトハウス報道官のキャロライン・リービット氏は3月5日、記者団に対し、トランプ大統領がここ数週間、ハマスと直接交渉するために当局者を派遣したことを確認した。ロイター通信によると、人質問題担当の米国特使アダム・ボーラー氏がドーハ（カタール）でハマスとの直接交渉に参加する代表者となっている。

これは米国とハマスとの初の直接対話と言われており、前例のない動きであり、テロリストに指定した勢力とは交渉しないという米国の長年の政策を覆すものだ。ホワイトハウス当局者は、イスラエルは接触について知らされていたと述べた。

米国、ハマスと前例のない協議、トランプ大統領は最後通牒を発出

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の事務所は、同国の立場を米国に伝えたと述べたが、詳細は明らかにしなかった。ハマスも会談を認めた。 AFP通信はハマス幹部の話として、話し合いは生きているアメリカ人人質と死亡したアメリカ人人質に焦点を当てたものだったと伝えた。

元米国国家情報長官で中東担当のジョナサン・パニコフ氏は、トランプ大統領の型破りな外交アプローチはリスクとチャンスの両方をもたらすとコメントした。「ハマスと直接交渉すれば、アメリカ人人質の解放が容易になり、長期的な合意に達する可能性もある。しかし、武装勢力と交渉すれば、将来的に彼らが同じ行動を繰り返す可能性もある」とパニコフ氏は述べた。

ホワイトハウスの確認を受けてトランプ大統領は、ハマスに対し、直ちに人質全員を解放し、犠牲者の遺体を返還するよう要求する最後通牒を発令した。ソーシャルネットワーク「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、同米国指導者は、これがハマス指導者にとってガザから撤退する最後のチャンスであると警告し、米国の要求に応じなければハマスのメンバーは誰も安全ではないと強調した。トランプ氏はまた、イスラエルが「その使命を完遂」できるよう最大限の支援をすると約束した。これに対し、ハマスのハゼム・カセム報道官は、トランプ氏の投稿は問題を複雑化し、イスラエルが停戦合意条件の履行を遅らせることを促すものだと述べた。

人道的災害への恐怖

国連世界食糧計画は3月5日、ガザ地区の食糧備蓄があと2週間以内に尽きると発表した。一方、国連児童基金は、イスラエルの封鎖によりガザ地区の新生児を含む子どもたちへの基本的な医療サービスが脅かされていると警告した。国連機関の警告は、イスラエルが停戦協定の第一段階の延長を受け入れるようハマスに圧力をかけるため、ガザ地区への外部からの援助物資の搬入を停止することを決定したわずか数日後に出された。

CNNによると、こうした状況に直面して、英国、フランス、ドイツの外相は、イスラエルに対し、国際的な義務を果たし、ガザの住民210万人に対する食糧、水、医薬品、燃料の緊急供給を促進するよう求める声明を発表した。一方、国連安全保障理事会のガザ問題に関する会合後、フランス、英国、デンマーク、ギリシャ、スロベニアを代表して発言したフランス外交官ジェイ・ダルマディカリ氏は、ハマスによるガザ地区の統治を認めるべきではなく、パレスチナ人を移住させるべきではなく、イスラエルに安全が保証されるべきだと主張した。